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鉄道車両の屋根が燃えた

鉄道車両の屋根が燃えた

小田急の屋根が燃えた
新聞各紙の報道をチェック

小田急火災 P9170071
朝日新聞9月12日朝刊と前日の夕刊。

2017年9月10日午後4時6分東京都渋谷区、小田急沿線の火災が車両に延焼、300人が避難、小田急が5時間半にわたって運転を見合わせる、という事故があった。翌11日の夕刊で、各紙が一斉に報道。さらに警視庁代々木署の実況見分の結果発表を受け、12日朝刊に、それぞれ詳細を報じた。

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主な新聞の報道内容を、屋根の扱いの視点でみた。
チェックしたのは読売、朝日、毎日、日経と東京新聞。日経と東京が8分間の停止の適否、事故対応の適否や誘導方法のありかたといった面に視点が注がれている。大手3紙はいずれも、実況見分発表を踏まえて、屋根のどの部分が、なぜ燃えたという、材料、状況分析にまで触れている。
その、部分を取り出してみる。

日経は(13版)39面、6段3分の1、「小田急の線路脇の建物から出火し、電車の屋根に燃え移ったトラブル」という表現で、8分間の行動の適否を問題視している。 東京新聞(11版)は29面7段3分の2を割き「…(運転士)は消防隊から屋根に燃え移っていることを指摘され…」と、建物火災の火が燃え移った小田急車両の屋根の写真を大きく掲載。

毎日は(13版)31面で 沿線火災で延焼し、屋根が焦げた車両の写真を載せ、「電車の車体はステンレス製で燃えないが、架線に流れる高圧電流を絶縁するため、屋根の一部をウレタン樹脂で覆っている。樹脂には難燃剤を混ぜているが、防火できなかった。」と締めくくる。

読売(39版)は39面8段3分の1。煙を上げて燃える写真と、焦げた屋根の写真を掲載。「屋根の一部溶ける」の見出しで報じている。警視庁代々木署の実況見分の結果として「電車の屋根を覆っていたウレタン樹脂が激しく燃えていたことが分かった。~炎が
直接樹脂に触れて燃え移ったとみられる~」。さらに「代々木署や小田急電鉄によると、ステンレス車両の屋根は架線トラブルによる異常電流から車両を保護するため、ウレタン樹脂の絶縁体で覆われていた。11日の実況見分の結果、建物付近に停車した2
両目の樹脂が燃えていた。~停車中の8分間に、建物の火が屋根の樹脂に燃え移った」と記す。

朝日(13版) 35面 6段2文1「なぜ車両に延焼」の見出しで、「燃えたのは電気設備周辺を絶縁するために、ステンレス製の車両に上塗りしているウレタン樹脂。難燃剤を混ぜているなどして燃えにくくしているが、今回は炎の勢いが強かった。」などとしている。

列車火災といえば、1951年4月24日の桜木町事件。この時は木製車両の屋根に着火、死者106人の大惨事となり、これを契機として、車両の屋根と車体の不燃化が進んだ。今回はステンレス車両ではあったものの、屋根の絶縁用樹脂が燃えていた。

桜木町

京浜東北線桜木町駅構内で工事を行っていた電気工事作業員が誤ってスパナを落とし、架線が垂れ下がってしまっていた。進入してきた電車の先頭車のパンタグラフが絡まりショート。激しい火花とともに屋根に着火し、車両は木製の天井から炎上を始めた。先頭車のモハ63756がたちまち全焼、2両目のサハ78144が半焼して焼死者106人、重軽傷者92人を出す大惨事となった。
この惨事の反省から多くの対策が施された。木製屋根の不燃化もその一つ。

昭和27年車両の難燃化を進める当時の国鉄は翌昭和27年、塩ビシートを車両屋根に初めて採用した。(ロンシール工業は昭和22年、日本で初めて塩ビの製造に成功していた。)
その後この技術を屋根防水用途に応用して昭和39年、旭川市役所で建物の屋根防水シートとして初めて採用された。加硫ゴムシート上市に先駆けること10年。建築用シート防水の出発点となっている。

2017/09/23(土) 00:50:07|屋根|

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