「塗材からみたコンクリート」
「塗材からみたコンクリート」
湯浅昇日大教授のコンクリート講座連載開始
5cmの表層コンクリートの性状がRCを守る決め手
日本大学湯浅昇教授は2012年8月31日全国アロンコート・アロンウォール防水工事業協同組合通常総会の記念講演会で「塗材からみたコンクリート」のテーマで、「コンクリートの側から防水を見てきた研究者」の立場から、ふくれやコンクリートの不具合に関する最新情報を解説した。
湯浅昇氏のプロフィールはこちらの記事を>>田中研究室のDNAを受け継ぐ、湯浅教授
湯浅先生の専門は「コンクリート」。それをひとつの塊でみるのではなく、その内部と外では品質が異なるということから立脚し、強度、劣化を論じることに力を注ぐ。それを解きほぐすキーワードは「水」と「細孔構造」。これを言語化し、コンクリートの状態を論じることがテーマだ。細孔構造からコンクリート内部の圧縮強度分布を示した研究に対して、セメント協会論文賞を受賞している。
当日の講演で湯浅教授は、北大時代の研究から、日大・笠井芳夫教授のもとで「表層コンクリート」研究を自らのライフワークにしていった経緯、最新の研究成果などを報告した。ルーフネット125号より、この時の講演会の内容を連載します。
「塗材からみたコンクリート」その①
2012/12/07(金)00:44:24|躯体保護と混凝土|
(つづく)
湯浅昇教授の「塗材から見たコンクリート」、今回は第2回め
「コンクリートの硬化と不均質性」
コンクリートの打設を待つ地下外壁。都内のある現場で。
(写真は本記事と直接の関係はありません)。
どんな状態のコンクリートが、どんな具合に打設され、どう養生されれば、しっかりと建物を支えてくれるのか、ここで半分決まる。
※ ※ ※
湯浅教授の講演「塗材から見たコンクリート」からの転載、2回目の今回は「コンクリートの硬化と不均質性」です
コンクリートが硬化するとはどういうことなのか、そのメカニズムと、細孔構造、含水率の関係などが解説されます。
「塗材からみたコンクリート」その②
(つづく)
2012/12/13(木) 00:44:24|躯体保護と混凝土|
有効細孔量を指標にコンクリートの性質を探る。
成長するエトリンガイト。
セメントに水が混じるとセメントの結晶から「エトリンガイト」という髭のようなものが伸びて、隙間を埋め尽くす。
※ ※ ※
日大・湯浅昇教授のコンクリートの話の転載第3回目。前回の第2回と今回の話題である、圧縮強度分布試験によって、コンクリートの実態についての話は一段落。またこれら一連の試験によって先生は、コンクリートの表面5センチの部分が重要なのだという結論に達します。
「塗材からみたコンクリート」その③
(画像をクリックすると拡大します。)
2012/12/20(木) 00:44:24|躯体保護と混凝土|
コンクリート表層の品質と耐久性
湯浅教授の、防水人のためのコンクリート講座4回目
栃木県佐野市の石灰鉱山(撮影・日本防水の歴史研究会 JWHA森田喜晴)
コンクリートの専門家である日大湯浅昇教授が、今年、全アロン防水組合の特別講演会で行った「塗材から見たコンクリート」の再録、いよいよ佳境に入ってきました。今回は鉄筋コンクリートの耐久性に「表層」は大きな影響力を持つ。表層とは表面から5センチであり、これはかぶりコンクリートの厚さである。かぶりコンクリートの役目は鉄筋を守ることである。ようするに「かぶりコンクリートという表層に本来の役目をはたさせるのが仕上げ材である」、ということですね。中性化、塩害、凍害などの問題が「細孔構造」をキーワードに明らかにされます。
葛生の石灰鉱山(撮影・日本防水の歴史研究会 JWHA森田喜晴)
「塗材からみたコンクリート」その④
(画像をクリックすると拡大します。)
2012/12/28(金) 00:44:24|躯体保護と混凝土|
塗り材のふくれ・はがれ
塗り材から見たコンクリート 5回目
鉄筋コンクリートのウィークポイントである表面を塗り材で保護するわけだが、具体的に何を防ぐかというと、それはCO₂、水などである。ところが守るはずの塗材がふくれたり、はがれたり、時によっては加水分解してしまう。それはなぜか、どう防ぐか。湯浅教授の防水マンのためのコンクリート教室5回目です。
「塗材からみたコンクリート」その⑤
2013/01/04(金) 00:51:58|躯体保護と混凝土|
(つづく)
湯浅教授の「防水マンのためのコンクリート教室」6回目
コンクリートの強度と塗膜の接着性
日本初の鉄筋コンクリート橋(琵琶湖疏水11号橋)明治36年、1903年。
コンクリートが強い・弱いというのはどういうことなのか。湯浅教授はコンクリートの強度は内部の孔の数で決まるという。孔がたくさんあれば水や空気の透過性が高まる。表面強度が低ければ塗膜の付着力も低下します。
今回は細孔構造と剥離接着力の関係をからそのメカニズムを解説します。湯浅教授の防水マンのためのコンクリート教室第6回目です。
「塗材からみたコンクリート」その⑥
(つづく)
2013/01/12(土) 00:44:24|躯体保護と混凝土|
湯浅教授の「防水マンのためのコンクリート教室」7回目です
含水率測定技術日本一。
日本銀行大阪支店。1903年明治36年建設。設計:辰野金吾ら。施工:大林組。
大阪府立中之島図書館と並ぶ明治期の代表建築のひとつ。夜のライトアップは特に美しい。
※ ※ ※
湯浅教授が研究結果から、コンクリートを覆った防水材などが膨れないようにするコンクリートの条件を導き出し、こう述べています。「下地の表面強度を15N/㎟ 以上になるまでは湿潤を保ち、その後乾燥しはじめて、含水率が6%以下になったらあまりふくれの心配は要らない」。さらに、含水率の測定技術では日本一を自負する教授が水分測定のためのセンサーや装置を紹介します。
日本大学湯浅教授の防水マンのためのコンクリート教室第7回目です。
「塗材からみたコンクリート」その⑦
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(つづく)
2013/01/19(土) 00:44:24|躯体保護と混凝土|
最終回 湯浅先生の「防水マンのためのコンクリート講座」
躯体コンクリートの将来の中性化を予測する
コンクリートの白化現象。
雨上がりのマンション外廊下。雨上がりの翌日はピカピカ天気。保護モルタルのひび割れに沿ってカルシウムが浮き上がる。通りがかりの子どもが「おじさん綺麗だねえ!」と言った。(写真は記事と直接には関係がありません)
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最終回となる8回目です。中性化深さ、塩化物イオン量測定など湯浅流測定法のノウハウを惜しげなく公開しています。また「竣工時に、コンクリートの透水気性、吸水性を測定することによって、躯体コンクリートの将来の中性化と塩分浸透性(中性化)を予測することができる」といいます。そして最後にALC外壁保護の最新研究報告でした。
湯浅教授がコンクリートと仕上げの関係を研究したきた中で、仕上げの不具合解明への挑戦の概要といったところですね。湯浅教室は今回で一段落です。
「塗材からみたコンクリート」その⑧
(画像をクリックすると拡大します。)
(了)
2013/01/27(日) 02:22:22|躯体保護と混凝土|