ツタンカーメンと防水の接点 ②
ツタンカーメンと防水の接点 ②
ライオン頭の女神はアスファルトで化粧する
ライオンの頭部をもつ女神の座像
ルーフィングジャーナリスト・佐藤孝一氏のスケッチ
高さ61センチ、幅17.2センチ、奥行き33.8センチ。十片の寄木に瀝青(アスファルト)コーティング。右目下頬が大きく欠けているほか、青色矢印部分は、下地の木、恐らくアメンヘテプ2世立像と同じであろう杉材がみえている。
エジプト新王国時代 第18王朝 アメンヘテプ2世の治世(紀元前1454-1419頃)テーベのルクソール王家の谷、アメンヘテプ2世の墓で発見された。
頭部が雌ライオンのこの女神像は10片の木材による寄木彫刻で、瀝青(アスファルトで)表面が覆われている。
この瀝青の黒は、「大地の肥沃さと、死者の王国に結びつく色」と、されている。
12月9日まで上野の森美術館で開催中のエジプト考古学博物館所蔵ツタンカーメン展。有名な黄金のマスクは展示されないが、防水やアスファルト関係者にとっては見逃せない3点がある。それが展示番号2:アメンヘテプ2世立像、同32:ライオンの頭部をもつ女神の座像、同46:チュウヤのカノポス厨子。いずれも木に瀝青すなわち天然アスファルトでコーティングされている。いずれも紀元前1500年頃の作品。
「瀝青とはビチュメンすなわち天然アスファルトのことで、防水や補強、表面保護のために使用された。」(総合監修ザヒ・ハワス博士の解説より)
写真:ツタンカーメンの棺形カノポス容器(内臓が保管されていた器)
2012/09/23(日)13:00:00|考古・地学|