大舟鉾の銅板屋根とルーフィング
大舟鉾の銅板屋根とルーフィング
150年ぶりの復活にルーファーも一役
祇園祭大舟鉾の銅板屋根と防水
鉾の絵。
2014年夏の京都はひときわ暑かった。全国的にも猛暑だったし、京都の暑さは昔から評判なのだが、今年は特に四条の鉾町の住民は燃えた。
その理由は、150年ぶりに祇園祭に「大舟鉾おおふなぼこ」が復興したからだ。祇園まつりが幕を閉じる7月31日まで、京都の人たちは気候の挨拶なみに、この鉾を話題にした。テレビはもちろんだが新聞は特にヒートアップ。京都新聞をはじめ、朝日、読売も、7月に入ると祇園祭特集がつづいた。
大舟鉾は1864年禁門の変(蛤御門の変)で焼失た大舟鉾は、150年ぶりに復興され後祭の巡行で10基の最後尾を飾った。
京都文化博物館でも展示。
朝日新聞7月25日の朝刊は、河原町御池交差点で辻回(割竹を車輪の下に入れ方水を撒いて方向転換)する様子を「150年 時を超え船出」と大見出しで掲載している。大舟鉾の屋根は、ほとんどお寺の屋根だ。葺きたての銅板はピカピカで、東京駅を思い出させる。紙面の大きな写真から、まぶしい屋根が目に飛び込んでくるのだが、記事には屋根に関する記述は一切ない。しかし実際は屋根工事も防水用ルーフィングも大事な役割を発していた。
京都市無形文化遺産展示室で展示されている大舟鉾の屋形。
漆塗りや装飾は今後の課題。
8月に入って、京都駅前のヨドバシビルの1階に京都市無形文化遺産展示室がオープンし、祇園祭に関する資料展示が、大舟鉾の屋形とともに展示されている。屋形は桧製で、会場では上下全方位から見られるため、屋根の銅板葺もしっかり観察することが可能だ。この展示は、鉾町である四条町大舟鉾保存会には解体した鉾を保管する町家がなく、ヨドバシカメラが保管を兼ねて常設展示することにしたそうだ。
この唐破風も差し込み式で、屋根全体は20のパーツに分解される。
大工が作ったパーツに銅板を貼ってゆく。0.3ミリの一文字葺き。(写真提供:田原板金製作所)
差し込み式の破風も2分割。
銅板を貼る前に防水のために、改質アスファルトルーフィングを下張りする。
(※板金工事の詳細写真を、工事を担当した田原板金製作所さんから頂いたので、田原社長の解説を添えて、紹介できるよう、準備を進めています。)
2014/10/07(火) 00:59:31|屋根|