湯島聖堂の首なし鬼
湯島聖堂の首なし鬼
首はただ今散歩中
湯島聖堂事務棟屋根の首なし鬼。(撮影:森田喜晴)屋根の降り棟(くだりむね)の先端、ふつうはここに鬼(瓦)がつく。銅板本瓦棒葺のこの屋根には鬼ではなくて、妖怪のような霊獣(聖獣)が鎮座する。水は噴出さないガーゴイルで、生みの親は伊東忠太博士である。素材が銅鋳物と聞いたとき、重量が心配になったが、通常の銅の鬼(鬼瓦)では木芯に銅をかぶせるため、むしろ鋳物のほうが軽いそうだ。確かにこの断面を見ればうなずける。
ガーゴイルたちは夜中に飛び回るそうだから、きっとこの首はきっと迷子になったのだろう。鬼の首を取ったら喜ぶのだろうが、首を取られたこんな鬼は悲しい。神社でもなく寺でもないこのような施設は、お賽銭もなければ、税制面の優遇もない。維持管理の困難さは想像に難くない。大棟(おおむね)のシビも壊れたままだ。
賽銭箱には「維持管理費に充てます」という張り紙がある。
2013/10/09(水) 17:34:47|歴史的建物を守る|