漏水事故とPL保険。
防水改修工事と保険の話:事例③ 漏水事故とPL保険。
誰がかけるかで、保険が出たりでなかったり。

工事店経営上、リスクヘッジのための保険は欠かせません。でもその保険が、適用されるのはどんな時?
いざ事故が起こった時、あれやこれやの条件が絡みつき、出ると思っていても出なかったり、それを保険会社側もよくわかっていなかったりします。保険は万能ではないし、さらに見かけの掛け金の高い安いだけで、工事保険を選べないのは一般の医療保険と同じです。
ルーフネットは、防水工事に特化した保険代理店業務を35年前から行っている東京損害補償センター浅倉研所長から、さまざまな事例を聞き出し、報告してゆきます。
昨日は中堅建築屋さんからPL保険の話がありました。
自社で基礎から全てを建築した物件で漏水事故があり、内装などに被害がでたので、自社の加入するPL保険で修理費用を負担してもらえるかという趣旨のものです。
答えは「No」なんです。
この場合、建築やさんにとっての生産物は建物全体(内装も外装も全て)となるので、その一部に被害が出ても「生産物自体」となるので対象外という話です。
防水やさんの防水施工にPL保険をつけた場合には、防水やさんにとっての生産物は防水層だけであり、内装は生産物に該当しないので保険の対象になります。
同じPL保険であっても、防水やさんが加入すれば内装への漏水被害は補償され、その建物を建築した建築やさんが加入しても漏水被害は補償されないわけです。
このあたりは誤解を生じやすいところですね。保険会社側もよくわかっていなかったりもするのです。また契約者は契約者で都合の良いように解釈してしまうことが往々にしてあります。
- PL保険とは
- PL(Product Liability)
製品の欠陥によって、その製品の消費者その他第三者が生命・身体または財産に被害を被った場合、その製品の製造・販売に関与した事業者が、被害者に対して負うべき法律上の損害賠償責任をPL(製造物責任)といいます。 - PL法(製造物責任法)
製品の欠陥により被害を被った被害者が、製品の製造業者に対して損害賠償請求する場合、以前は民法に基づいて、製造業者等に故意または過失があったことを証明しなければなりませんでした。 - PL法が施行されたことにより、被害者は①損害の発生、②当該製品の欠陥の存在、③欠陥と損害との因果関係の3点を立証すれば、製造業者等は過失の有無にかかわらず、損害賠償責任を負わなければならなくなりました。
- PL(Product Liability)
PL保険は瑕疵保証ではありませんので、製造、生産したもの自体は保険の対象となりません。製造・生産したものの欠陥がもとで他に与えた被害を対象とするものです。
防水施工店のPL保険では施工した防水層の欠陥で漏水事故が起こり汚れた内装や家財が保険の対象となります。(昨今では瑕疵も保証する特約などがあります)
外壁改修工事のPL保険では剥離落下した外壁はPL保険の対象となりません。対象となるのは剥離落下した外壁に当たった通行人や車の損害です。(昨今では瑕疵も保証する特約などがあります)
(写真は本文の記事とは関係ありません)
2010/08/16(月) 10:42:21|集合住宅改修 !&?|