神さんの居はるとこに土は置けへん
神さんの居はるとこに土は置けへん
檜皮葺きの屋根に瓦や銅板の棟包
ところが本殿の棟だけは瓦は載せない
なぜだろう?
京都板金工業組合理事長の田原 茂さんが触っているのが、世界文化遺産賀茂別雷(わけいかづち)神社、通称・上賀茂神社の鬼。屋根から降ろし、腐った部分を最小限で切り取り、新しい木が埋め込まれている。材質は杉のようだ。これから田原さんによって銅板がまかれる。
今打っているのは「経の巻(きょうのまき)」。経の巻とは鬼の上部の筒状の部分。経典の巻物に形が似ていることからそう呼ばれる。
奥では甥の大吾君が手伝っている。(京都・田原板金 作業場で、2013.12.撮影)
これは檜皮葺に瓦の棟包み。棟の端部・鬼の上部に3つの円筒形が見える。これが経の巻。
昭和27年が遷宮だ。遠く(鳥居の中央部)の緑色のカバーが本殿と拝殿の素屋根。
国宝の本殿と拝殿の屋根は檜皮葺き、棟は銅で包まれている。
歴史的には銅板は瓦と比べて新しい材料である。
それがなぜ神社の中で一番大事な本殿の屋根の棟に使われるのか?瓦より格上なのか?この2年間、文化財公開の場などで、機会あるごとに尋ねてきたが、解らなかった。この日、田原さんが「茅葺きの屋根屋さんに聞いた」といって教えてくれた。それはこんな理由だった。
瓦を載せるということは、固定のための土が載る、ことを意味する。
「本殿でも末社でも神さんが居はるところに、頭の上に土は置けへんやろ!」
なるほど。納得でした。
本殿以外は経堂や宝物であっても屋根は檜皮きに銅の棟包み。
2013/12/30(月) 23:32:13|屋根|