誰も居眠りしない講習会
誰も居眠りしない講習会
鈴木哲夫講師の話に懸命にメモを取る60人の受講者。
「工事説明会の進め方、資料の上手な作り方」
で2時間のホットなセミナー開催
改修工事技術者の底上げと、改修事業の健全な安定化の実現に向けて研究・支援活動を行っている「プロジェクトアシアス」が1月26日(火)18時30分から20時30分まで東京新宿区の日本青年館ホテルで第5会研究セミナーを開催した。
マンション改修工事では、工事着手前に、住民に対して工事の説明が行われる。その説明の内容は住民の立場に立ったものでなければならない。さもなければ質問が多くなり、また準備が不足していると答弁に困ることになる。説明が十分でないまま工事に入ると、後でトラブルになることもしばしば。
今回の研修セミナーでは、これまでの経験から「好ましい工事説明会の運営から説明内容および説明資料の作り方」について、詳細かつ具体的なテキストに添って鈴木哲夫氏が説明した。
プロジェクトアシアスはマンション改修を得意とする鈴木哲夫設計事務所の鈴木氏を中心に設計者、管理会社の技術者8名が2年前に立ち上げたコンサル・研究組織。第1回目のセミナー以来、具体的で即仕事に役立つ内容をテーマに選んで開催し、30人程度の受講者があった。参加者の評判が良く同じ会社での複数参加が増え、会場が手狭になってきたため、今回からより大きな会場を使用するようになった。
セミナーの概要は次のとおりだが、その前に取材記者の驚き。
2時間のセミナーで誰一人居眠りしていない。
10分の休憩をはさんで前半60分、後半50分、誤差1分以内で話をまとめた。参加者全員がアンケートにキチンと記入した。居酒屋の反省会で乾杯の後、すぐアンケートを回覧し、次回の相談を始めた。
住民の立場に立った説明会とは
18ページのレジュメの目次は以下のとおりで、更に細かく、具体的な対処法が記されている。
- 改修工事等の工事説明会の概要
- 工事説明会前の準備・調整
- 工事説明の内容
- 説明資料の構成
- 工事中のクレーム・問い合わせ(事例データ)
記者のメモに中から、印象に残ったものをいくつか紹介しましょう。
- 良くある住民からの質問:「工期、どんな工事?」などの質問は事前に説明してあっても、何度でも出てくる。
- 説明担当は声が大きいこと。
- 説明会での質問はQ&A形式にして記録し、全戸配布する
- 過去のQ&Aを配っておくのも良い。
- 新たなQは過去のQ&Aに追加し自社の財産とする。
- 配布資料は綴じ代を多めに。穴を開けておくとなお良い。
- 文字は大きければ、色は多ければよいとは限らない。
- 住民のメモスペースも設けておく
- インフォームドコンセント:音・ホコリなど、「出来るだけでない様にします」ではなく「出ます。覚悟してください」と言う。
- 住民は「前の工事の人はたのめば何でもやってくれた」と言う。
- 説明会資料の表紙には管理組合の名を明記し、共同作業であることを示す。
- 工程表は詳しすぎず、一目で分かるように。
- 古いエアコンは一旦止めると、再運転できないことがあり、責任を問われることがある。
- 素焼きの植木鉢に注意:根がまわっていると、内圧がかかっていて、置いただけで割れることがある。
- 住民が作業員に何時終わるかと尋ねると「今日完了です」と答えるが、それは「自分の仕事が今日で終わる」 ということ。この誤解がトラブルの元。
- 規約違反の設置物は撤去はするが、再設置はしない。
- 住民は「ビス」はわからないが、「ネジ」といえば分かる。だから、「平場はクラックが多発し、笠木と排水溝ならびに立ち上がりまで、一体的にウレタン塗膜防水を施します。ケレン洗浄時にはドレーンやスリーブのパテーーー」などの表現は理解不能。
- 住民目線で分からない用語一覧
- 「ケレン」は明治時代に入ってきた、クリーニング、クリーンがなまったもの。
- 泥棒は何時どんな風に入ってくるか。
- 住民が理解度不足で使う専門用語で質問した時、鵜呑みにして答えない。「それはこういうことですね」と確認してから答える。
などなどーーー。
2010/01/27(水) 12:00:00|集合住宅改修 !&?|