「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年 4月11日 号 (№42)

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2011年 卯月うづき 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

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田中先生、退官最終日も一人で実験

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2011年3月31日、東京工業大学田中享二教授退官。
同日午前11時44分、田中研究室にて撮影。
数日前、かたずけもほぼ終わっていると聞いていた。朝、電話したが誰もでない。ガランとして、鍵がかかっている研究室の様子が目に浮かぶ…>>全文を読む

日石社史にみる日本石油史

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5冊の日石社史から読み取る「燃土燃水献上」
日本の石油産業を展望し、歴史を踏まえて将来を展望しようとする際、最も重要な文献は日本石油、現JX日鉱日石エネルギーの5冊の社史「日本石油史」だろう。まず大正3年の東京大正博覧会にあわせて発刊された初版「日本石油史」、3年後の大正6年に創立30周年に合わせて発刊された「縮刷版日本石油史」、太平洋戦争開戦前年昭和15年、ひっそりと作られた百ページの50年史。初版日本石油史の改訂増補版ともいうべき新版「日本石油史」は昭和33年創立70周年の記念事業の一つであった…>>続きを読む

「路上のうた」 ホームレス 住まいの川柳 雨の巻

雨上がり 我が寝床から 虹が立つ
ビッグイシュージャパン2010年12月10日発行 700円。

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福岡のホームレスとその仲間が書きためた8百句の川柳の中から300句を選りぬいて、「路上のうた ホームレス川柳」としてまとめたもの。
句集の解説を書いている作家の星野智幸さんはホームレスを撮り続けている写真家の高松英昭さんと一緒に「路上文学賞」を創設した。その星野さんが「寝ている最中に降る雨は悩みの一つだが、それを幻想的な光景に変えてしまう。私は真夜中の暗闇に濡れた毛布から上がっているイメージを浮かべて、その美しさに鳥肌が立った」というのが上の句だ。>>全文を読む

絵日記

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フサアカシア(ミモザ)

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ルーフネットの重点項目「躯体保護と防水」とは

超サステナブル建築と防水 ⑤

百年・二百年建築、千年建築の「防水」をどうする?
~Dr.田中享ニの「躯体保護と防水」セミナー~

建物の長寿命を議論する際、「長」のとらえ方として、ある時は50年、ある時は100年、200年、また1000年を想定します。

田中享二教授は「100年が目標であれば、現在の技術で可能である」といいます。可能といってもそれは「本気でやれば」可能ということだ。本気でやるとは、具体的にどうすることなの?それが今回のテーマです。

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写真は最終講義謝恩会で挨拶する田中享二教授

※田中享二東京工業大学教授が、全国アロンコート・アロンウォール防水工事業協同組合総会(2010年8月27日、品川プリンスホテル)で行った特別講演「超サステナブル建築と防水」の記録を5回に分けてご紹介しています。今回が最終回となります。

超サステナブル建築と防水の条件

d.材料の面から:高耐久性

コンクリート

鉄鋼

木材

高分子材料

 材料の面からの高耐久化は、各々の専門・専門で頑張ってくれています。コンクリートも、一時期すごく耐久性が問題になったことがありました。これはいけないということで、いまは非常に安定的に耐久性のあるコンクリートを供給するようになりました。もちろん、第一線では、もっと耐久性のあるコンクリートを研究し続けており、コンクリートの高耐久化は、重要なテーマとなっています。
 鉄鋼のほうも、耐久化ということを一生懸命やってくれております。普通は塗装で耐久性を確保するのですが、塗装をかけなくても耐久化を図るということを、土木では耐候性鋼板とで実用化しています。鉄橋では、ペンキを塗る費用がものすごくかかるらしくて、材料費はそうでもないかもしれませんが、あの危険なところでの作業から、人件費がばかにならない。何よりも危険作業は避けたい。できれば無塗装でいきたいという強い希望があります。塗装なしで耐久性に優れる鋼材は、鉄鋼分野の人も考えてくれているということです。
 木材だって、それなりに考えてくださっていまして、例えばプラスチックを含浸させるとか、プラスチックと木材のコンポジットをつくるとか、あるいは大断面の集成材をつくるとか、やはり材料の側で40年、50年で壊れないようなものを作っている。
 高分子材料については、きょうお集まりの方のほうが詳しいので、私はあまり余計なことは申し上げませんが、それなりに頑張ってくれています。
 今までの話をまとめますと、100年からそれを超えるくらいのオーダーの高耐久化ということは、いまのわれわれの持っている技術でかなり行けてしまう。あとは、それを本気でやるかどうかということであります。
 本気でやったとしても、先ほど言いましたように、位相差を生じないように何か手を打っておかなければいけない。いままでのように、建物を「これは○○用途です」と固定的に作ってしまいますと、その後どうしようもならなくなる。用途変更もできないし、その空間のクオリティを上げることもできない。だから、建物の用途と性能水準に位相差を生じさせないようにすれば、ハードの技術としてはかなり揃っていると言ってもいいと思います。

1000年を目指す超サステナブル建築

 それでは、さらに1000年を目指したらどうなるか、ということです。こうなると、話はかなり変わります。

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 1000年はちょっとオーバーですが、数世紀残すためには、どういうことを条件として考えなければならないかというと、ここに示すようなことを考えなければいけないと思います。
 最初は設計面であります。建築では設計がスタート地点ですので、やはりここは頑張ってもらわなければいけないわけです。そうすると、「やはり残したい」と思わせるものを設計してもらいたい。「もういいや」というものは、設計してもらいたくない。だから、設計者もちょっと頑張って、「絶対これは歴史的建造物になるぞ」と思われるくらいの意気込みで設計をしていただきたい、というのが一番目であります。
 具体的に言うと、数世紀というと文化のレベルですから、宗教建築とか特定の用途は別として、普通の建物では、文化的に価値のあるものを設計するようにしないと、超サステナブルにはならない、ということであります。
 ですから、残念ながら文化的価値がちょっと低いかなと思った場合には、用途変更に耐え得るものを作ってもらいたい、ということです。それには、設計の面で言いますと、先ほど言ったSIというのも一つのやり方ですが、やはり空間にゆとりをつくっておかないと、これもちょっと難しいかなと思います。
 ですから、経済設計ということで階高を低くしたりするのはよくない。やはりゆったりと作ってあれば、あとはいろいろなことに使える、ということであります。
 もう一つは、設計といったら少しはずれるかも知れませんが、設計面で火事に耐えることもあります。それには隣棟間隔をきちっととるような、設計上の配慮も必要に思います。
 2番目の構造で言いますと、地震、雷、火事、親父ですから、まず地震に耐え得る建物にすることです。大地震は再現期間が長い。そうすると超サステナブル建築には、高レベルの耐震技術が不可欠な条件であります。
 これに関しましては、阪神淡路の地震以来、耐震技術は、いま急速な進歩を見せているところであります。私も、同僚が構造の先生ですので実験室によく行きますが、いつも新しい耐震のデバイス(耐震性を高めるための要素で、耐震壁、ブレース、免震ゴム装置等を指す)の実験をやられていますので、この辺はかなり心強い状態になっています。
 ただ、デバイスの中に入っている材料が高分子系材料ですので、そこのところの耐久性が個人的にはちょっと心配ですが。いずれにしても、いま耐震の技術はすごく進んでいます。
 3番目が構法面であります。これは先ほど言いましたように、不用意に水を接触させないということです。接触させる場合は、触らせる部分と触らせない部分のメリハリをつけていただきたい。そうすると、ここで要求されるのが、高度の防水・雨仕舞いの技術であります。
 防水というと、何でもかんでも水遮断ということですが、そうではないです。建築で非常に重要なのは、防水するところとしないところを、きちっとメリハリをつけることです。そういう意味での高度化であります。
 4番目は材料面です。これは、すべてそれなりに高耐久化ということで進んでいますので、それはお任せすればいいかなと思います。
 最後は維持管理面です。維持管理が途切れた瞬間に、それでもう建物は劣化が始まります。ですから、やはり管理者、つまり建物をいつもお守りする人が絶対に必要だ、と思います。
 建設時点で、あるいは設計時点でもいいと思いますが、つくるスタートのときに、どういうふうに維持管理するかをきちっと考えておく必要があると思います。いまのリフォームの技術は、いままでのものをどうするかであります。だから、以前にちゃんと考えておけば、こんなに苦労しなかったのに、ということが結構あります。
 それに対する言い訳として、「技術が進歩するから、進歩した技術を使う方が良い」という、やや能天気な考え方もありますが、それは明らかに間違っていると思います。やはり設計者が最初の設計の段階で、どういうふうに直すかということのスペックを書かなければ、物事は進みません。補修の時に技術が進歩していて、もっといい材料、もっといい工法があれば、それに越したことはないと思います。
いまどんな図面を見ても、「何年たったら、ここの部材をこういうふうに取りかえる」ということは一切書かれておりません。しかも、VE提案ということで、現場でまた違うものに切りかわったりすることが日常茶飯事に起きています。これからの建築の設計の姿勢としては、明らかに間違っていると思います。これからは、新築のときに、100年後の姿、1000年後の姿をきちっとイメージして、設計者が設計しなければならない時代になると思いますし、しなければならないと思います。維持管理をどうするかということを設計の段階で組み込んでおくと、その後、楽になることがたくさんあるからです。

現時点では、全ての技術がそろっていない。

今後の技術開発が期待される。

 そろそろ最後ですので、まとめに入ります。いまの時点で言いますと、寿命100年は技術としてきちっと担保できると思います。ただ、100年から先になってくると、若干ファジーなところがあります。現時点で、すべての技術が揃っているわけではないということです。この技術の中には、建築全体として考えなければならないことが沢山あります。
 そういうものに対して、そろそろ技術の開発をやり始めていってもいいのではないか、というのが、私の本日の主張です。
この背後にあるのが、先ほど言いましたように、地球環境問題が切迫状態です。超サステナブル建築を環境対応技術としてとらえてゆかねばならないということです。 

超サステナブル建築を作るために

防水の側からどうするか

 それでは、これを防水の側からどうするかということですが、これに対して具体的な答えを持っているわけではないのですが、2つのことを考えたらどうかと思っています。

1. 耐久性のある材料とする。

・材料そのものを高耐久化する。

・劣化代(れっかしろ)を用意する。

2. 交換や補修技術を新築時に組み入れる。

 ひとつ目は、現状の防水材料は、率直に申し上げて耐久性が短過ぎると思います。どうして短くなったかというと、これも理由がはっきりしています。
 日本が防水10年保証になった理由を、ある方が教えてくれました。戦後、日本が復興のとき、見よう見まねで防水材料をつくって売ろうとしたそうであります。
 当時は外国の有名なメーカーがいろいろありました。「そういうところの製品ならいいけれど、日本の製品はよくない。長もちしないから嫌だ」といろいろなところで言われたそうであります。
 日本は技術がありませんでしたから、仕方がないので、「そのかわり10年は保証します。10年間の間に何かあったら、それは無償で修繕しますから」といって販売したのだそうです。10年保障は、そういうことで始まったそうです。
 ですから、とにかく品質はほどほどでもよく、とにかく製品を作って、10年保障で商売をする。それが当時の我が国の防水の水準であったということです。
 結局その10年保証だけが独り歩きをし、結果として逆に10年保証さえできればいい、ということになってしまったわけであります。
 簡単にいうと営業トークとしての「防水は10年」ということで始まったと教えられたわけです。
 きょうは化学のエンジニアの方が多いと思いますが、今の技術力をもってすれば、高耐久化は当然できるわけであります。だから、これはぜひやっていただきたいと思います。


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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