「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年12月2日 号(№74)

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2011年 師走しわす 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

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「カプセルタワーの外観がとても悲しいことになっているんだ」

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「メタボリズムが日本の戦後建築様式の中に歴史として固定された」田中長徳
「カプセルタワーの外観がとても悲しいことになっているんだ」という話をしていたら、知人が「今、六本木の森アートミュージアムで開催中だよ」と言って、メタボリズム建築の歴史を回顧する展覧会の図録をくれた。>>つづきを読む

第3回 日中韓防水シンポ その④

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JWMA技術委員長中沢さんからの写真です
次回は2013年、東京で開催。早稲田大学の輿石先生(写真)を中心に開催予定です。>>写真を見る

両中門作り 秋田県豪農の家

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秋田県 旧奈良家 重要文化財秋田
コの字型にくぼんだ部分の屋根の庇付近は茅葺きではなく杉皮で葺かれ、美しい模様を描いている。単調なデザインを避ける遊びかと思ったら、実用的な理由があった。>>つづきを読む

絵日記

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燃土燃水献上図を探ねて その2

「燃土燃水献上図」をたずねて -2-
今回は発見から、本邦初公開までの記録です。

2011年6月。行方不明だった小堀鞆音(ともと)画・「燃土燃水献上図」が、JX日鉱日石エネルギー㈱戸田保管庫で見つかった。動いたのは総合防水メーカーの老舗・田島ルーフィングである。
6月20日午前10時30分、田島国雄社長、窓口の綿引友彦氏、ルーフネット編集長立ち会いのもと、東京・岩本町の田島ルーフィング東京営業所会議室において佐野市立吉澤記念美術館・末武さとみ学芸員が画を鑑定した。そして「大和絵の系譜を継く歴史画の父・小堀鞆音の優品である」ことを確認。翌日にはこの作品を10月1日から開催される予定であった佐野市立吉澤記念美術館「小堀鞆音没後80年展」へ追加出品すべく、絵の所有者であるJX日鉱日石エネルギー㈱と出展交渉することが決まった。

田島国雄社長、佐野市立吉澤記念美術館
左・田島国雄社長

動いたのは田島ルーフィングだが、同社に画の捜査協力を依頼したのは丸山 功氏(新バ―レックス工営会長) である。その経緯はこうだ。

昨年2010年10月、縦30センチ、横45センチの美しい織物が新バ―レックス工営㈱丸山さんの元に届いた。日本書記の記載にある「天智天皇に越の国から燃える土(瀝青)と燃水(石油)が献上された」という故事を描いた小堀鞆音画伯の「燃土燃水献上図」を忠実に再現したものである。
これは5年前に死去した、松本工業㈱の佐藤健二社長の妻とよ子さんが、防水業界の歴史に詳しい新バ―レックス工営㈱の丸山 功取締役会長に遺品として額装し贈呈したもの。とよ子さんは「主人の亡父が大切にしていたが、主人は気にも留めずシミだらけにした。主人が亡くなった後、そのことを思い出した。私が持っていても仕方無いので、もらってほしいと思い額装した」そうだ。丸山さんはルーフネットのサイトで小堀画伯の絵を見て、その画と防水業界との深い関わり知っていた。この織物が同じ画柄であることが分かった。そこでとよ子さんに入手経路を尋ねたところ、「義父が日本橋の方の会社からもらったらしい」とのことだった。

その年の年末、新バ―レックスを訪問した田島社長に対して、丸山さんは「日本石油が30周年記念事業の一環として小堀鞆音画伯に日本書紀の天智天皇への瀝青献上の絵を依頼したということであるから、この織物も、日石の関係でつくられ、配られた可能性がある。防水業界にとって貴重なものかも知れない。自分が持っているよりは業界最大手で、アスファルト防水の老舗である田島ルーフィングが持っていた方がよいだろう」とこの織物を寄贈した。 同時に、織物の原図であり、行方不明になっている小堀鞆音画伯による「燃土燃水献上図」の探索を同社社長の田島国雄氏に託した。翌月、田島ルーフィングは取引先の株式会社ジェイエックを通じて、JX日鉱日石エネルギ-株式会社(旧日本石油㈱)広報室に調査を依頼した。ジェイエック(旧中西瀝青)は大正8年創業の、田島ルーフィングともつながりの深い日本石油系のディーラーである。

田島ルーフィングからジェイエックを通じてJX日鉱日石に話が行った時期は絶妙のタイミングであった。というのは、平成22年7月1日に誕生した『JX日鉱日石エネルギ-株式会社』は合併による本社移転に伴いそれぞれの財産目録を作成しており、ほぼ作業を終えた時期だった。もちろん美術品も例外ではない。ジェイエック真瀬部長からの調査依頼を受けてリストを調べたJX日鉱日石エネの広報室は、そこに小堀鞆音の名を見つけ、戸田保管庫でケースに入った「燃土燃水献上図」を確認し、6月はじめジェイエックに連絡、ジェイエック真瀬氏から田島ルーフィングに「発見」の知らせが来た。

実は、筆者は前年(2010年)末、JX日鉱日石エネルギー広報室に、これまでの、新潟県胎内市(旧黒川村)教育委員会や、近江神宮などでの調査結果を報告し、画のありかを問い合わせていた。年が開け明け、今年1月7日広報室K氏から連絡があり、「恥ずかしい話だが、会社合併などの混乱により行方不明である」との正式回答を受けて、ルーフネット上で、貴重な画に対する対応の悪さを毒づいていたのである。

燃水祭
小堀鞆音・燃土燃水献上図を模して行われている新潟県の燃水祭。

「燃土燃水献上図発見」の知らせは筆者にも届いた。そして画は一時的に田島ルーフィングに運ばれた。ルーフネットは2011年4月24日の本格的記事発信以来、この画を防水の起源に関わるものとして、各方面から調査していた。発見の知らせが来た頃、読者から、「佐野市の美術館でこの秋「小堀鞆音没後80年展」がある」、という情報をいただいていた。

佐野は小堀鞆音の生地である。その土地の美術館・佐野市立吉澤記念美術館で本邦初公開の画が展示できないかというアイデアが浮かんだ。これまで日本各地で小堀鞆音の展覧会は行われているが、この画の鑑定を依頼するには鞆音ゆかりの佐野市立吉澤記念美術館が最適だ。田島ルーフィングからの連絡をうけて、すぐに佐野市立吉澤記念美術館とコンタクトした。美術館側は興味を示し、すぐに画と対面する日程が決まった。

約束の6月20日、筆者は佐野市立吉澤記念美術館末武学芸員と秋葉原駅で待ち合わせ、東京の田島ルーフィング東京支店会議室で作品を確認した。そこで「小堀鞆音の美術界では知られていない優品である。多少傷はあるが、展示上問題はない。」という評価を得、さらに画の背景に関してはルーフネットの調査の信憑性も確認され、翌日には「燃土燃水献上図」の追加展示決定の連絡が来た。こうして、防水の起源に関わる歴史画の本邦初の一般公開が実現し、2011.10.1~11.13まで佐野市立吉澤記念美術館「小堀鞆音没後80年展」の目玉として展示された。

小堀鞆音発見
落款で制作年代を絞る。

当初、スケジュールの点でこの画の図録への追加は難しいとされていたが、田島ルーフィング、ジェイエック、JX日鉱日石エネルギーの協力で、無事図録にも収録され、ポスターにも組み込まれた。また図録の参考文献欄には防水専門サイト「ルーフネット」の名前が掲載され、展示協力者の欄には、田島ルーフィング、JX日鉱日石エネルギー、ルーフネット編集長の名も見られる。美術館側が用意した記者会見のための配布資料には今回の展示会が本邦初の一般公開となる、「燃土燃水献上図」が詳細に大きく紹介されている。

展示会は11月13日で開期を終えたが、この画を模して近江神宮で「燃水祭」を行っている燃水祭世話人代表で滋賀県石油組合芝野桂太郎理事長が滋賀県から、天然アスファルトの研究者で「秋田県豊川油田をヨイショする会」佐々木栄一会長らも美術館を訪れた。

滋賀石油 芝野さん
近江神宮燃水祭世話人代表。滋賀県石油組合芝野理事長。

つづく

2011/11/23(水) 22:50:44|「日本書紀と瀝青」|


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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