30号棟(日本初のRCアパート)の防水層は舶来品
30号棟(日本初のRCアパート)の防水層は舶来品
軍艦島30号棟の防水層を採取分析
ARKが調査の経緯と調査範囲を初めて報告(2)
軍艦島の構造物(JWHA日本防水の歴史研究会撮影)
アスファルトルーフィング工業会(ARK)が行った目視調査の結果、軍艦島の構造物の防水層劣化状況は次の通りであった。
調査方法は、対象構造物の屋根防水全面を観察して、各棟の押さえ層、アスファルト防水層露出部・非露出部の現状を把握するというもの。
この結果、各棟共通の特徴としては、押さえコンクリートの亀裂・消失、アスファルト防水層露出部の表面亀裂・破断・消失、アスファルト防水層は下地コンクリートから簡単に剥がせる、が挙げられる。ARKは各棟固有の特徴を上表にまとめた。
アスファルト防水層は亀裂や脆化、消失が進んでおり、現在は十分な防水機能を果たしているとは考え難い。棟ごとに経年数が違うために劣化の進行度合いに差がある。
また建設時期が違えば使用した材料も異なるはずである。当時の防水工事用アスファルト、アスファルトルーフィングの仕様変遷と各棟建設時期の関係から、軍艦島建造物防水層に使用された防水工事用アスファルトとアスファルトルーフィングの種類を推測した。
その結果、大正期は舶来品、昭和5年以降はすべて国産品を使用していることから、我が国初のRC集合住宅である30号棟は、新築時に防水層が施工されているとすれば、舶来品の防水材料が使用されていることになる。
ARKでは今後採集した試験片を分析し、これらの詳細を明らかにしていきたい、としている。
2016/09/21(水) 14:46:18|歴史的建物を守る|