石灰なるほどゼミナール
石灰なるほどゼミナール
栃木県佐野市に、美術館とコレクションを寄贈した吉澤石灰㈱の4代目吉澤慎太郎社長(中央)に、小堀鞆音展の感想と石灰の話を聞きました。
日本書紀に記された、防水の起源に関わる歴史画「燃土燃水献上図」を本邦初展示した栃木県佐野市立吉沢記念美術館。佐野市は2005年に旧佐野市、葛生町、田沼町が合併して佐野市となりました。 同美術館は当初葛生町立吉沢記念美術館でした。この美術館の建物と、基本コレクションを寄贈したのが、日本最大の石灰会社吉澤石灰(株)の3代目吉沢兵左です。同館は伊藤若冲の菜蟲譜(さいちゅうふ)を所蔵していることで有名ですが、佐野が「歴史画の父」小堀鞆音との生地であることから、吉澤記念美術館では小堀鞆音の企画展を何度も開催し、そのレベルの高さが評価されています。吉澤石灰の現社長は4代目吉澤慎太郎さん。吉澤社長に小堀鞆音没後80年展の感想を聞いてきました。
小堀鞆音の代表作と言えば「武士」と「常世」ですが、今回この2点を初め、主だった作品が展示できました。 学芸員の末武さんの努力によるものです。彼女の書く解説は素晴らしい。専門家の間でも彼女の評価は高いですよ。優秀な学芸員です。もちろん燃土燃水献上図の本邦初展示も話題を呼びました、一般新聞にもたくさん記事がでましたからね。(吉澤談)
(注:「2011/10/01 本日10月1日初公開 防水の起源に関わる画」をご覧ください。)
実は、今回の吉澤石灰取材にはもう一つの目的がありました。それは、日本最大の石灰会社である吉澤石灰の工場と鉱山見学。これらは順次紹介します。
吉澤石灰と防水の関係ですが、「2011/10/07 防水用ル-フィングと佐野市立吉澤記念美術館」に紹介したように、大手の老舗総合防水メーカー日新工業常務の相臺 志浩(そうだいゆきひろ)さんから以前こんな連絡をいただきました。
「今回防水業界にとって重要な絵画である「燃土燃水献上図(小堀鞆音画)」が初めて展示されるのが、佐野市立吉澤記念美術館と知って驚きました。吉澤記念美術館は、佐野市の企業である吉澤石灰工業の3代吉澤兵左氏が寄付した美術館なのですが、この吉澤石灰工業は、ルーフィングの充填剤の原料メーカーなのです。当社は大変長い間お付き合いをしています。偶然にも郷土博物館ではなく、防水業界に大変ゆかりのある企業が寄付をした吉澤記念美術館で展示されるというのは、何か因縁めいたことを感じました。」
また会期中、小堀鞆音の絵とアスファルトの話を特集した田島ルーフィングの社内報「和」が、美術館の入り口に紹介されていました。これも縁ですね。
石灰は元をたどればサンゴです。石灰はセメントの原料としてはもちろん、製鉄には欠かせません。石灰のマーケットのうち約60%は製鉄用なのです。
石灰鉱床の成り立ちが吉澤石灰の会社案内に解りやすく解説されています。
このあと鉱場と鉱山を紹介します。
2012/02/20(月) 13:05:32|考古・地学|