「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年11月19日号(№72)

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2011年 霜月しもづき 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

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日本石油史も展示されています..11月13日まで

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小堀鞆音「燃土燃水献上図」は大正3年8月25日以前に完成していた
佐野市立吉澤記念美術館。小堀鞆音「燃土燃水献上図」の前のケースに「日本石油史」が展示された。>>つづきを読む

建築学会 第6回防水シンポジウム

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「建築防水分野における新たな取り組み」
主催:社団法人日本建築学会 材料施工委員会 防水工事運営委員会
日時:2011 年11 月8 日(火)13:00~16:30
会場:建築会館ホール (東京都港区芝 5-26-20)
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世界が注目する建築ユニットの最新プロジェクトのポスターに防水工事?

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建築、アートがつくりだす新しい環境―これからの“感じ”
妹島和世・西沢立衛。2010年にプリツカー賞を受賞し、現代建築界をリードする建築ユニットと、現代美術界注目の人気キュレーター長谷川祐子によるコラボレーションが今回の企画。
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第3回 日中韓防水シンポ 石原さんより

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第3回日中韓防水シンポジウム だより
東工大・石原さんの写真とコメントです>>続きを読む

絵日記

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「屋根を読む」 世界の草ぶき屋根と雨仕舞

「雨の日の屋根は読み物である」と、防水研究の第一人者・田中享ニさんは言った。

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9月30日学士会館でこの春東京工業大学を退官した田中享ニ教授の退職祝賀会が、教え子達によって行われた。
当日は、田中先生がパーティーの前に40年間の防水研究への取り組みを振り返って講演した。またこれまで書きためた屋根に関する随想を纏めた「屋根を読む―旅」と、3月に東工大で行った最終講義の講義録が記念品として参加者に贈られた。
「屋根を読むー旅」はA5版271ページ。この本について「まえがき」でこう述べている。

 雨の日の屋根は読み物である。一滴の雨粒が屋根に落ちて、いろいろな経路を経て軒先からしたたり落ちる。どんな屋根にもこれが書かれている。ただ最近の屋根は材料、構法が進歩したせいもあり、巨大化、複雑化して、読み物としては難解になってきている。一方、古くからある屋根は小さくて素朴であるが、材料が限定されているせいもあり、逆に構法としては洗練されているものが多い。全体を見通すことのできる優れた短編である。

 四十数年間、研究と教育の現場にいたが、巨大化、複雑化した技術の一部を教えたり、多少精緻に調べたりすることが日々の仕事であった。いずれにしても技術のほんの一部である。もしかしたら大きな方向で間違っているのではないか。研究に携わっている者ならば、潜在的にもつ不安である。そのためにはしっかりとした羅針盤をもつ必要がある。そう考えて機会があれば少しでも多くの屋根を、現地で読む事を心がけてきた。必ず現地に赴いたのは屋根が風土の産物であり、それの置かれている光と風と水のなかでしか読み解けない事が多いからである。

 幸い新樹社もそのことを後押ししてくれた。そして記事にすることを勧めてくれたのである。最初は自分の勉強のために始めた作業であったが、途中からは読者を意識しての作業となった。

 屋根は大きく勾配屋根と陸屋根とに分類される。そのなかで勾配屋根を読む機会は多くあったが、陸屋根を見る機会はほとんどなかった。それが気になっていたが、昨年アフリカを訪れ、詳細を知ることができた。私の中では完結した。東京工業大学の退職を機に、他の出版物に投稿したものも含めて、それらを取りまとめてみた。屋根を読む手引書として、少しでも参考になったら、私の望外の喜びである。

※ ※ ※

著者の許可を得て、同書の中から「草葺き屋根の雨仕舞」の章を紹介する。

草葺き屋根の雨仕舞

 今、一番値段の高い屋根葺き材は何であろうか。時々、気まぐれに超高級な材料を使ったりする人もいるので、困るかも知れないが、それを除けば草葺き屋根である。わが国では茅(多くの場合はすすき)で代表される屋根である。材工(材料と工事費)込みで、一平方メートルあたり数万円はする。そしてかつて、もっとも安い屋根はといわれると、それも草葺き屋根であった。当時はその辺でふんだんに手に入ったので、当然といえば当然である。いつ頃、値段がひっくり返ってしまったのかは知らないが、現在はそうなっている。

 さて、その草葺き屋根であるが、これは世界中のかなりの地域に分布している。屋根の材料と形は風土に強く依存するのだが、草葺き屋根はおおざっぱにいうと、よく雨の降る地域と重なりあう。多雨地域は豊かな植生を持ち、屋根架構を作るのに適した大きな材木と、屋根を葺くのに適した植物を、容易に、そしてふんだんに入手することができるからである。そして形は必然的に、雨処理の楽な勾配屋根となる。反対に、このような材料の手に入らないところでは、あるものと云えば土くらいなので、それで屋根を作らなければならない。そのようなところでは平らになる。もともと雨が少ないので、何でもよいので、作るのが簡単なものとなる。

 ところでわが国は、世界でも有数の多雨国である。そしてそのことがそうさせたのだと思うが、草葺き屋根の技術を高度に発達させた国でもある。私たち自身はあまり認識していないが、世界のトップレベルにある。そして残念なことに、今は急速にこの屋根は減少している。

この屋根は想像すればわかるように、隙間だらけの屋根である。茅を束ねて積み重ねただけだからである。しかし、それでいて雨を止めることができる。考えてみればおかしな仕組みをもつ屋根である。それでは、この屋根は防雨上どのような特徴をもっているのであろうか。この技術が消失しつつある今、その特徴を記録に留めておく必要があるのではないだろうか。そう考えて始めた研究である。

 さっそく簡単な装置を作って実験をしてみた。まず雨を降らせる装置である。これにはどのくらいの粒の雨を、どの程度降らせればよいかが問題になるが、わが国の雨に記録を調べて、最終的に三メートルの高さに、注射針をたくさん埋め込んだ水槽を置き、そこから水滴を落下させることにした。これで粒の直径三ミリ、降雨量毎分二ミリの雨を降らせることができる。これは実際の雨と比べると、雨粒の落下速度は少し遅いが、土砂降り程度の雨を再現していることになる。

 次に草葺き屋根であるが、最終的には実際の茅でやろうと思っているが、とりあえず図に示すように、ガラスの丸棒を用いた。形がそろっているし、水との濡れも良好で、何よりも水の動きをよく観察できるからである。これを斜めにさし架け、屋根の形を作る。そして屋根から排水された量と、途中で漏水した量を測る。きわめて単純な実験である。実は屋根の防雨性能は、いろいろなパラメータの影響を受けるのであるが、草葺き屋根なのでそれを特徴づけるものとして、材料間の隙間寸法を取り上げた。
図に測定結果を示すが、材料がまばらに積まれて隙間の広い間は、降った雨がどんどん漏れている。隙間を狭めてゆくと漏れが少なくなり、ある隙間寸法のところで完全に漏れなくなる。ここまでは当たり前であるが、それではもっと狭くなると?もっと確実に雨を止めるようになると思われるが、そうではなく逆に漏れはじめる。

 どうも雨を止めるには、ちょうど良い隙間寸法があるようである。そこのところを注深く観察してみると、ちょうど良い隙間では、ガラス棒の間を雨粒がなめらかな水流となって流れている。しかし狭すぎると、さらに上から降ってきた雨が、前の雨を下側に押し出し、途中で水滴として落下させる。土砂降り位の降雨強度では、ガラス棒の隙間幅が〇・二から〇・四ミリくらいが最適だということが分かった。このくらいだと、土砂降りの雨でも完全に雨を止めることができる。しかも驚くことに、わずか二層か三層積み重ねるだけで十分である。

 もうひとつ実験をしてみた。実際の草葺き屋根では、茅束が段々に積み重ねられている。普通、表面は鎌で床屋さんのように刈られ、形が平らに整えられているので気付かないが、実際は茅束が少しずつセットバックしている。だから屋根の軒に近い方は、直接の雨粒に加えて、棟からの雨水も流れ落ちて来ている。そのような状況を思って欲しい。

 さて実験である。まずガラス棒の間隔幅を広めにしておく。当然雨は隙間から激しく漏れている。その状態のところに、上方から水を流してやる。そうすると、ぴたりと漏れが止まる。最初はこれを見たときには、本当に狐につままれたような気がした。これについては、「物理の散歩道」という本に「またがり流れ」という表現があったが、さらに水が加わると「またがり流れ」が出来て、雨が落下するのを阻止してしまう。そして流下させる水量を少々増やしてもなかなか漏れない。この屋根のもつ雨を排水する能力は、かなり高そうである。

 このように調べてみると、草葺き屋根は意外と素晴らしい屋根ということに気付かされる。実際の草葺き屋根では、いろいろなサイズの茅が、がさっと束ねられ、積み重ねられているだけなので、こんなに高性能ではないが、それでも秘めている能力はなかなのものである。これをうまく引き出せたら、ちょっと素敵な屋根ができると思いませんか。

2011/11/08(火) 10:20:31|屋根|


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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