「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年 7月23日号(№56)

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2011年 文月ふみづき 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

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防水の起源を現した歴史画「小堀鞆音・燃土燃水献上図」再発見!

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10月1日、佐野市立佐野吉澤記念美術館で本邦初公開へ。
明治・大正期の日本を代表する歴史画家、小堀鞆音の作品「燃土燃水献上図」はこれまでの作品目録や、年表には記録がない。もちろん展覧会で出品された形跡もない。日本石油が発注者であり製作年は後に説明するが、大正3年であることは間違いなさそうだ。日本石油役員室の壁に掛けてあるはず、と何人かの人は言う。しかし近年、原画を見ることはできなかった。>>全文を読む

8月23日建築学会大会「防水関連」発表スケジュール

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  • 8月23日 9:15~ 
    早稲田大学14号館403室 防水層の耐久性や評価方法、緑化、遮熱など
  • 8月23日~25日
    早稲田大学14号館501室 コンクリート、補修・改修・維持
    >>くわしく見る

燃える土・水献上

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2011年7月7日燃水祭 日本書紀と防水がつながりました
黒川村で採油した「燃える水」を「燃える土=アスファルト」とともに近江神宮までお運びし、燃える水を奉献する胎内市黒川支所長。>>写真を見る

日本書紀を奉唱する石油と防水のお祭(燃水祭・日本書紀奉唱)

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日本書紀の奉唱はもちろん「天智天皇7年 越之国より分燃える土と燃える水を献上した」と言う部分};
今年燃水祭で奉唱したのは、大阪府石油商業組合理事長・浪田昌治さん。
近江神宮ホームぺージは次の様に説明しています。『日本最初の石油の記録は、1340年をさかのぼる、天智天皇の御代のことした。正月3日、新都大津宮において、御即位の式典を厳修せられた天智天皇7年(668年)の7月のことでした。…』>>つづきを読む

燃水祭で初。防水関係者による玉串拝礼。

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防水業界からも7名初参加防水の祖神でもある天智天皇に玉串拝礼。燃水祭玉串拝礼。
毎年7月7日、天智天皇を祀る滋賀県大近江神宮で「燃水祭」が行われる。今年は、日本書紀とアスファルト・防水とのかかわりを1年以上にわたって紹介してきたルーフネット編集部に近江神宮から、燃水祭への招待状が届いた。>>全文を読む

絵日記

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新着ニュース

2011/07/22 マンションを長持ちさせる85歳の設計者new
2011/07/17 防水の起源に関わる日本書紀の一節を描いた歴史画new
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2011/07/07 行ってきま~す。近江神宮燃水祭
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2011/07/05 黒川村郷土伝習館の「燃土燃水献上図」ジオラマについて
2011/07/01 黒川燃水祭に防水業界からも初参加-速報-
2011/07/02 桧皮葺模型 その3(原寸大編)
2011/06/27 燃土燃水関連図 その②
2011/06/26 ウムを言わせぬ、この草屋根の力!
2011/06/25 哲学堂で森 光作さん(改修技術研究会会長)が絵画展
2011/06/25 震災被害を受けた建物の修理をどうしたらいいか。追加資料
2011/06/24 屋上緑化の哲人 ・ F.ヴァッサーの作品も省エネ対策
2011/06/23 燃土燃水献上関連図
2011/06/22 東日本大震災 この建物をどう直す?
2011/06/20 塩ビシート防水好調。ロンプも300万㎡突破
2011/06/19 防水の起源。「燃水祭」カウントダウン
2011/06/17 JWMA(日本防水材料協会)が社団法人化後初の総会
2011/06/15 黒川村まで460キロメートル
2011/06/14 ATS協議会が臨時総会で新体制へ移行
2011/06/13 アーキヤマデ塩ビシート防水でトップシェア
2011/06/11 SONG FOR JAPAN
2011/06/10 全アロン防水組合お薦めウェブマガジン
2011/06/09 T's スタイル 第1号は「岩見沢複合駅舎」特集
2011/06/09 田中享二先生最終講義始まります。
2011/06/08 「燃水祭」の御案内がきました
011/06/07 最近のチタン屋根に関する解りやすい情報
2011/06/06 サンロイドDN シート防水出荷量は20%増
2011/06/03 全防協総会
2011/06/02 Q&A 近江神宮HPトップになぜ防水専門サイトのバナーがあるの?

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最終講義⑤

防水研究の第一人者。
東京工業大学田中享二名誉教授の最終講義。第5回。
建築材料の研究者が植物の基礎研究を始めた。近年屋上緑化の需要が増えつつあったところに、今回の大震災と夏の電力逼迫。クールルーフのへの期待は一気にヒートアップ。ところで屋上緑化防水の要は防水層の耐根性だ。「地上の花はきれいでも、根はとても荷暴力的」だと、田中享二東工大名誉教授はいう。どの程度暴力的であるかを、調べねばならなのだが、意外なことに、従来の植物の研究ではそんなデータがなかったそうだ。ここでも先生は、世界初の研究を始めた。植物の根がどの程度の力で防水層を攻撃するか。測定装置の製作から始まり、驚くべき結果が判明した。
何と、木の根が肥大する力は車2台分の重さにも相当するという。

5 学んだこと その4 恐るべし根の力。これもまた世界初の研究

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 厳しい話題が続きましたが、研究室ではもう少しのどやかな研究もしておりますので、その話を最後にして、講義を終わりたいと思います。最近は地球環境問題や緑の癒しの効果などから屋上緑化が急速に進んでいますが、それらを背景にしたものです。
今度は植物相手の研究です。風で散々苦労したので、植物でも苦労するのはいやだなとも思いましたけれども、結局取り組みました。理由は、我々の専攻に土壌学がご専門の渡辺真紀子先生という方がいらっしゃって、ある会議の終わりに、専門外なのですが植物の根の研究をしたいのだけれども、修士論文の時など審査員になっていただけますかと尋ねたところ、即座に「面白いんじゃない」と後押しをしてくれたからです。うまくゆくかどうか半信半疑でしたが、土壌学の先生がそうおっしゃるのだから「いけるか」と勝手に思い、研究に着手しました。もちろんこの研究も私ひとりではありませんで、表さんや明石さん、そして石原さんら女性軍の力で研究を進めました。
地上の花はきれいなだけで防水とは無関係です。しかし地下に伸びている根の部分は、防水層に対して非常に暴力的です。どのくらい暴力的かと言いますと、この写真はパンチングメタルで作った容器の内側に防水層を敷き込み、その後シバを植えて様子をみたものですが、数ヶ月で地下茎が防水材をぷつっと破っています。このくらい暴力的です。これは危ないということになります。
ではそれがどのくらいの力なのかということが問題になります。防水層の耐根設計に必要だからです。当然こういう研究はたくさんあると思いまして、手分けしていろいろな方に聞いたり、図書館で文献調査をしました。どれくらい太るかという研究はたくさんありましたが、こういう突き破るということに関する研究は皆無でした。「これはもう仕方がない。自分でやろう」と腹をくくりました。
ただ相手は生き物です。これをどう手なずけるかが問題です。これもその後建築学会の防水工事運営委員会内に研究チームを作りましたが、そのメンバーに竹中工務店の三輪さや内山緑地建設の立山さんといった、そうそうたる植物の専門家も参画してくださっていて、「植物の根は水と栄養を求めて伸びる」といことを教えてくれました。我々が夜な夜なアルコールを求めて徘徊するのと同じです(会場笑)。その習性を使うことにしました。測定はこの図のようです。まず左側にクマザサを植えて根(ここでは地下茎)を繁茂させます。右側には力を測定する装置の容器に、水で湿らせた土を入れます。真ん中には孔の開けられたじゃま板を置いておきます。そうすると地下茎は水のある方に伸びてきます。地下茎ですので、伸びると同時に太りもします。小さな孔ですので、途中でひっかかります。それでも構わず伸びようとしますので、力を測ることができるわけです。

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この測定でも面白いことがわかりました。もちろんじゃま板を押す力は上昇するのですが、同時に脈動していたのです。一日一サイクルで上下していたのです。どうして脈動するのかがしばらく謎でありました。これは石原さんが樹液の流速を測定する研究をやってくれて、謎が解けました。植物は根から水を吸って、幹を通して葉にもって行きます。昼間は葉の気孔を開いて水分を吐き出します。そのため樹液流速は早くなります。その代り圧力は上がりません。ところが夜は気孔を閉じます。根からはかまわず水を供給しようとしますので、圧力は高まります。その結果、押す力が昼夜間で脈動することが理解できました。

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そして問題の押す力ですが、わずか数週間で最大9.8N、ざっと1kgf位の力が観測されました。私の予測ではそんな大きな力はでないだろうと、たかをくくって10Nのロードセルしか発注していなかったので、測定は限界に到達しギブアップしました。
これがどのくらいのものであるかを、具体的なイメージで説明しますと、地下茎の先端は爪楊枝の先に似ています。この先端を水で濡らして少し柔らかくします。それを手のひらに立てます、そしてその上に1リットルのペットボトルを載せます。このような状態です。実際にやってみるとわかりますが、結構痛いです。このような力ですので、弱い防水層では突き破られても無理はないな、ということが理解できました。ですから緑化防水は、相当性根を据えてかからなければならないと思います。

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それからもうひとつ考えておかなければならないことがあります。樹木の根の肥大です。損傷でよく見るのは、アスファルト舗装の不具合です。歩行面が盛り上がって、表面がひび割れていることをよく見ると思います。

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これが街路ならば多少は許されるのかもしれませんが、屋上だったら土壌層がぎりぎりの厚さで作られているので、クレームになると思います。そこで根の肥大も調べました。

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測定に使ったものは、実験室のそばにある桜の木です。私どもの研究室に来られた方はご存じだと思いますが、これが私どもの実験室です(写真)。手前に木があります。昔の学生さん達が卒業記念に植えていってくれたものです。研究室仲間しかわからないのですが、クイビー桜と呼ばれています。私の研究室の方針は、何でも全員参加ですので、この木にも加わっていただきました。まず土を掘り起こして根を裸にしました。根はパンツを脱がされた状態になりましたので、さぞかし恥ずかしかっただろうと思いますが、これもひとえに学問のためとあきらめてもらいました。この根の途中に肥大する力を測定する装置を取り付けました。装置の原理は簡単で、両側から根をはさみこみ、ロードセルを取り付けて力を測るというものです。これを使って夏と冬の2シーズン測りました。冬は確かにぐっすり寝ていて、力を出しません。しかし春先から夏にかけては、根は成長していて力を出します。これもやはりクマザサと同じように脈動しながらです。昼間は圧力がさがり貧血状態、夜間は高血圧状態です。だから植物は全体として貧血と高血圧を繰り返しているということが分かりました。

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そして最大値として、根の長さ1cmあたり440Nを観測しました。これがどれ位のパワーかといいますと、根の長さを1m部分として換算すると大体4.4トンになります。小型乗用車は重さが2トンくらいですから、これを2台位は持ち上げることができます。大変な力持ちであることが分かりました。

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この研究を通して、「相手をよく見ることが大事」ということを実感しました。特に本日お集まりの若い方に申し上げたいのですが、研究することは、データが単純に増えてゆきますから、パターン化されたマニュアルどおりの作業をすることと思うひとが多いのですが、実はパターン化された段階では、研究の実質の部分がほとんど終わっています。それよりも研究の初期は、試験体でも現物でもなんでも良いのですが、それとしっかり向き合って、じっくり見ていただきたいのです。そうすると研究の方法も見えてきますし、研究対象への対応のしかたも自分で分かってくると思います。

>>つづく


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

  • 主な収録項目

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