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2017年6月1日 号(№346)

2017年6月1日 号(№346) 画像の説明

 

2017年 水無月みなづき平成29年、昭和92年、大正106年、明治150年

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仮設屋根 苫が鎮める 雨の音

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震災仮設住宅の屋根の雨音
苫葺きで 断熱と防音
トタン屋根が潤いのある屋根に変身する。>>つづきを読む

ルーファーのための音楽会 2017.6.1(木)

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菅沼起一&中世音楽アンサンブルのオリジナルコンサート
建築と音楽 live 6月1日 11:30~東京ビッグサイト西館1 
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天然アスファルトの防水への利用

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天然アスファルトの研究者・佐々木榮一氏が展示発表
日本最大の土瀝青鉱山の歴史
明治中期・民家屋根に施す防水工事の画も
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絵日記

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明治の近代化を支えた巨大土木事業

明治41年の新宿淀橋浄水場防水工事

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ワールド工芸真鍮

大量の土瀝青を運んだのが英国製のこのSL。(模型写真提供:ワールド工芸。HOゲージ、1/80 )

1892年、東京市が新宿西口付近の淀橋浄水場建設工事用としてベイヤー・ピーコック社に発注した2輌のCタンク。浄水場工事が終わると機関車は鉄道庁に譲渡され、その後臨時台湾鉄道隊に転用された。
近代防水の始まりは1905年。その13年前、明治の近代化を支える巨大インフラ 淀橋浄水場に、秋田県の土瀝青(天然アスファルト)が大量に、運ばれ、防水施工された。掘り出したのは 穴原商会。ここから木下金蔵、岡田平蔵が別れた。多くの資材とともに、アスファルトを運んだのがこの機関車だ。

2017年5月31日~6月2日。東京ビッグサイト西1 で開催される「R&R 建築再生展の」“JWHA 日本防水の歴史研究会ブース”で近代前夜日本の巨大プロジェクト、淀橋浄水場の防水工事で大量に使用された天然アスファルトに関する展示があります。それを運んだSLの話も。(入館は招待状または http://rrshow.jp/事前登録)で無料。

淀橋浄水場

淀橋浄水場。アスファルトの歴史に関する古典的資料、村岡坦著「アスファルト」に掲載されている東京市水道沈殿池のアスファルト塗布の写真である。明治32年12月17日、淀橋浄水場内で落成式開催と書かれている。

この有名な写真は、各所で引用されているが、写真に写っている工事に関する裏付けがなかった。村岡は明治43年8月発行の「アスファルト」のp.121に写真第十一としてこの写真を掲載し、「東京市水道沈殿池アスファルト塗布実況」と写真説明を添えているだけである。しかし、その前ページには「池槽の漏水防御」として防水仕様を示している。

東京都水道局が昭和41年に発行した「淀橋浄水場史(非売品)」。この資料から、この有名な写真の施工時期は明治41年末と推定できる。明治25年から始まった工事は32年に完成、給水を始めたが、直ぐに使用水量が増加し2期工事が計画された。

実は第1期工事では防水工事は施工されなかった。第2期工事の実施設計に対して「既設の沈澄池、ろ池はいずれも粘土張りの防水工だったが、増設分には結成石表面に厚さ五分のアスファルトを塗るよう設計変更し、明治39年10月の市会の議決を得た」(同書53ページ)とある。

あの見慣れた写真は、まさにこの第2期工事のものであろう。諸般の事情で工期は遅れ、秋田から大量に運ばれた天然アスファルトによるによる防水工(土木野分野では建築と違って「防水工事」とは呼ばず、「防水工」、といいます)が施工されたのは41年末から42年初めである。こうして2期工事は明治42年3月末竣工、直ぐに使用開始された。「アスファルト塗り工事のおかげで漏水等の試験結果は良好だった」(同54ページ)と記されている。

江戸中期の景勝地は明治には浄水場となり、新宿再開発で東京が爆発する直前、超高層ビル群に膨大な電力を供給するために地下16メートルの変電所が建設される。地下5階の逆打ちの突貫工事。それを追っかけて夜を徹しての熱アス防水の工事が1年半続いた。

東京市淀橋浄水場工事に従事した蒸気機関車の物語

田島ルーフィング(株)田島常雄

ワールド工芸
(編集部注:写真提供:ワールド工芸)

1892年に当時の東京市が2両の小さな蒸気機関車を購入しました。姿かたちを見ると“あっ、機関車やえもんだ!”或いは“トーマスだ!!”と呼びたくなります。

でも私のような「鉄ちゃん中級」ステイタス保有者はそれを許しません。形態的構造的に鉄道院1100系に属する蒸気機関車で、明治初期の代表的形式で、原設計は英国ナスミスウイルソン社で居酒屋で必ず茄子味噌田楽を注文するし、東京市が何でわざわざベイヤーピーコック社に注文したのか裏に何か忖度があったのか、ランボードとキャブにピーコックの香りが残っているとか、果てしなく話題が拡散しますが一旦落ち着け、落ち着け…。

1100型は明治時代の鉄道と日本の近代化を支えた代表的な蒸気機関車です。120年たった今でもファンが多く、富山県砺波チューリップ公園に1両が保存されています。
東京市の2両は淀橋浄水場工事に携わりましたが、工事終了後、1894年に官鉄(国有鉄道の前身)に引き渡されました。今の大型ジェット旅客機に匹敵するほど高価な英国製機関車を、なぜ僅か2年で手放したのか不思議ですが、色々と大人の事情があったのでしょう。

さて、官鉄に渡った2両は166号と167号の名前を貰いました。今年(平成29年)は国鉄民営化でJR各社が誕生して30周年に当たりますが、1906年(明治39年)に全く真逆の事が行われました。鉄道国有法が公布され主な幹線私設鉄道が国有鉄道に統合されたのです。1909年に機関車型式が鉄道院式に改められ仲間は1100型に統一されましたが、2両は更に陸軍に譲られ、直ぐに台湾に渡り、1100型に命名されないまま1936年(昭和11年)に廃車になったそうです。防水工事用の機関車は、激動の日本近代化時代を漂ったのでした。(20170423)

    

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田島さん(左)とテツ仲間の鶴田裕さん。

2017/05/22(月) 00:08:27|ARCHIVES|


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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